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ウクライナ、EU&NATO加盟見送りか
対ロ関係強化へ

7月15日、クチマ大統領は、ウクライナの防衛構想からEU及
びNATOへの加盟という戦略的目標を削除すると表明。
新たな目標としては、これらの組織との関係を「深め」、
ヨーロッパ及び北大西洋諸国との統合を促進する、という、
よりあいまいな表現がとられています。

ロシア外務省は27日、この新方針を「ウクライナの新しい
軍事ドクトリンのバランスの取れた性格は、同国また露ウ両国の
国益に合致するものである」と評価し、露ウ両国の軍事的・政治的
パートナーシップが「力強く」発展することになろう、とコメント。

24日には、前アメリカ大使とそのまた前任者を非難して
「彼らは野党の手先となり、アメリカ合州国の指導者たちに
[ウクライナの]状況の歪曲された像を伝えていた」と
クチマ氏は発言。

これを追うかのように26日には、ヤルタでのビジネス・フォーラムに
参加していたロシアのプーチン大統領は「西側の諜報員たちが、
ロシアとウクライナの[経済的]統合に不信感を抱かせようと、
両国内及び国外で活動している」と表明。

これらの発言は、ウクライナのEU加盟の希望に対し、露骨に
否定的な対応がEUの指導部内であったことが誘因とみられて
います。

また10月末の大統領選を控え、現首相のヤヌコーヴィチ候補と
彼をバックアップする現大統領クチマ氏が、西側寄りとされる
野党側の最有力候補ユシェンコ氏と一線を画するため、
西側に距離を置きロシアに近づく路線を打ち出し、ロシアに対し
選挙運動への協力を求めた(おそらく)ことが原因とみられています。


チェルノブイリ「第2石棺」完成、2008年末の予定
4号炉からの危険物質の除去にさらに50年

ヨーロッパ復興開発銀行は、チェルノブイリ原発4号炉上の
「石棺」をさらに覆う「第2石棺」建設の受注者が今年末まで
に確定すると発表。

10億ドル以上の資金を必要とするというこのプロジェクトのため、
同銀行によって1997年にチェルノブイリ・シェルター基金が
設立されており、現在各国の拠出金が8億4千万ドルに
達しているとのこと。

「第2石棺」建設は2008年末には完了の予定。これにより、
4号炉内部の放射性物質の除去・処理・貯蔵も可能になる
というものの、そのための貯蔵施設をウクライナに造るには
少なくとも50年を要し、4号炉内から危険な物質を取り出す
のにさらに50年が必要。

「第2石棺」の寿命は100年と見込まれているため、この作業に
ちょうど間に合う? という、大いに心許ないシナリオが描かれ
ています。

ドネツク炭鉱、メタンガス爆発36名死亡
独立後の炭鉱事故犠牲者3,700人以上

7月19日、ドネツク州のクラスノリマンスク炭鉱でメタンガ
スの爆発事故が起こり、36名が死亡。

開業後45年になる同炭鉱では、ここ数年例年のように同様の
事故が発生しており、2001年の事故では9名が死亡。

ウクライナに存在する200の炭鉱のうち75%は危険とみなされており、
2003年に職場での事故で死亡した炭鉱夫は少なくとも267人、
2004年に入ってからはすでに100人を超えている。

ウクライナ独立後に事故死した炭鉱夫の総数は3,700人以上。
ウクライナで生産される石炭100万トンあたり3名の人命が犠牲
になる計算という。

ウクライナの石炭生産量は90年代初めから停滞、昨年度の
生産量は約8,000万トンで消費量はそれをわずかに上回っており、
つまりウクライナは石炭をも輸入している。

ウクライナGDP12.7%、CIS内最高

 今年前半期のウクライナの国内総生産は、昨年同期に比べ12.7
%の成長を見せており、この成長率はCIS諸国内で最高。

インフレ率7〜9%の見通し

 2004年中のウクライナのインフレ率は、経済省[大蔵省とは
別に、国の経済関係の施策を作成する省]予測では7%だが、ウ
クライナ銀行協会会長スゴニャーコ氏の予測では8〜9%。

大統領選挙の選挙運動にどれほど資金が投入されるか、
また石油・ガスの価格変動によってこの数字が変化する
可能性ありという。2003年中のインフレ率は8.2%。

[以上、アメリカ人が発行人で反政府系の週刊英字紙『キエフ
・ポスト』及び同社発行のロシア語週刊誌『通信員』による。]

 キエフに戻った時は、けっこう暑く、涼しさを期待していた
私はがっかりしましたが、8月に入って涼しくなり、11日など
は20℃くらいの気温でした。こうなるとなんだか夏らしくない
と思ってさびしいのは、人間の身勝手というものでしょう。日
本は暑い日が続いているようですが、どうぞお元気で。
                (2004.8.12)

                      竹内高明