文責 木村祥子
以上の学習会の模様を録音したテープと資料をお分けします。
テープと資料を合わせた代金は正会員が1000円、通信会員・学生が1500円、非会員が2000円です。(送料実費)
ご希望の方はロシア語通訳協会事務局 apr@m3.dion.ne.jp までお申し込みください。
なお小野神父さんから、京都ハリストス正教会への「ロシアの正教会信徒の訪問は大歓迎ですし、ロシア語通訳の奉神礼参祷(土・日)も大歓迎です。またロシアからの旅行者の見学も受け入れます。ただ事前に確認の連絡をしてください(神戸の正教会も兼務しているので)」という親切なお申し出をいただきました。機会がありましたら訪問して見られることをお奨めします。
【京都ハリストス正教会連絡先】
住所:京都市中京区柳馬場通二条上ル
TEL/FAX: 075−231−2453
メールアドレス: ocj_kyoto@yahoo.co.jp
第2部は、教会から歩いて20分くらいのところにある「日本ユーラシア協会」で行われました。講師はソ連時代のロシア正教会レニングラード神学校の指揮科を卒業され、通訳協会の会員の中でも正教会の第一人者と目される山崎瞳さん。この日のためにわざわざ作成してくださった「ロシア語通訳者のための正教会用語」に基づいて詳しく説明してくださいました。正教会の教会用語では独自の訳語が使われています。それは最初にニコライが翻訳したとき、ロシア語のひとつの単語にひとつの漢字をあてると決めたからだそうです。たとえば聖母をあらわすБОГ ОРОД ИЦАは、それぞれ神・生・女をあてたので神生女、そこから生神女という訳語ができました。合唱団出身の山崎さんの「うっとりするような、きれいな発音のロシア語で、さっぱり分からなかったロシア正教の用語が少しは頭に残るようになった」「正教会の訳語の謎がとけた」などという感想が参加者の中から寄せられました。
この学習会に参加された人の中には、プロテスタントの信者、京大でロシア正教を研究している大学院生や、五代にわたる正教の信者の家庭に育ったという方などもおられ、活発な質疑応答、意見交換がされました。
小野神父さんは、正教会の歴史と伝道者の活動について、1時間半という限られた時間の中でも全容がつかめるよう分かりやすく話してくださいました。カソリックの宣教師たちは伝道活動にラテン語を使ったけれど、正教では現地の言葉を使ったということです。まだキリスト教が禁止されていた幕末の日本に上陸したニコライ修道士は、函館のロシア領事館付き司祭としての仕事のかたわら猛烈に日本語を勉強しました。彼のもとで東北地方の武士を中心に、たくさんの日本人の伝道者が育っていきました。
京都の初代の主教は、後にボリシェビキにより生き埋めされたうえ銃殺されたアンドロニクです。日露戦争のあと、京都の伏見区の東福寺にはロシア人捕虜収容所があり、神父や伝道者たちが慰問に行ったということです。またロシア人捕虜が隊列を組んで教会までお祈りに来たこともあったようです。
写真:京都ハリストス教会
ロシア語通訳協会関西支部の2005年度第2回勉強会の報告
「ロシア語学習者に必須のロシア正教に関する知識を実際の教会で深めよう!」というコンセプトのもとに、関西のロシア語通訳協会は11月30日(水)に勉強会をしました。普段このようなテーマで話を聴く機会も少なく、できれば公開講座として、できるだけ沢山の方に聴いていただきたい内容だったのですが、会場の都合で定員は20名に限定せざるを得ませんでした。当日は会員12名を含む22名が参加しました。
勉強会は2部に分かれます。
第1部は午前中に京都の中京区にある「京都ハリストス正教会」で小野貞治神父による「ロシア正教の概要と京都ハリストス正教会の歴史と現況」についての講義。昼飯をはさんで、昼からの第2部は、やはり中京区にある「日本ユーラシア協会」で、「一般的知識としてのロシア正教関係宗教用語(ロシア語)と解説」を山崎瞳さんにしていただきました。
第1部の会場となった京都ハリストス正教会・生神女福音大聖堂(БЛАГОВЕЩЕНСКИЙ
СОБОР В КИОТ ЯПОНСКЙ ПРОВАСЛАВНОЙ ЦЕРКВИ)は1901年に建てられ、1903年に大主教ニコライにより成聖式が行われた由緒のある建物で、京都市の指定有形文化財に指定されています。聖堂の内部は、靴を脱ぎスリッパに履き替える以外は、まるでロシアの教会のような佇まいで、イコノスタスに掲げられたイコンもすべて創建当初からのものだそうです。