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ロシアの放送ではペレストロイカ20周年のトーク番組などが流れ、最近のモスクワの外見は一見西側並みで、人々の動きもせかせかせちがらく、仕事中毒というほど働き者のビジネスマンたちが多くなっているとか。
そんな今、ソ連時代のモスクワを、自分が生まれ育った街として、いとおしさをこめて綴ったこのエッセー集を読むとやさしく癒される思いがします。
著者は「風姿花伝」をロシア語に訳し、日本演劇、「能」の研究家として知られているニーナ・アナーリナさん。物不足や様々な不便も人々が助け合って乗り越えてきた時代の、普通の家族の日々、ソビエト時代の大学生活などが飾ることなく語られています。観光ガイドブックではお眼にかかれない、そこで生まれ育ち今も暮らしている人の眼に映ったモスクワです。
最終章は、ソ連文化省に粘り勝ちして演出家のエフロス、詩人のオクジャワ、俳優で演出家でもあるユルスキーなどの来日を実現させた故宮澤俊一さんの思い出に捧げられています。
モスクワを訪れた野崎よしお先生や宇野重吉氏に会う機会に恵まれたときのこと、ドストエフスキー全集が売り出されたときの大騒ぎ、ソ連時代にあったさまざまな制限と、それが取り除かれていった時期のことも。
どれも、こうしてニーナさんが書き留めて下さらなければ知ることができなかった貴重な記録です。何事にも一途で融通の効かない著者、訳者、宮澤さんという3人の絶妙の組み合わせでこの本がうまれたことは希な幸運としか言いようがありません。
三浦みどり